電子材料王国ニッポンの逆襲
泉谷渉
東洋経済新報社
液晶やプラズマテレビで日本のメーカーが世界で頑張っている。
そんなことはたいていの人が知ってると思うが、実はその他のデジタル製品でも日本のメーカーが世界のシェアの多くを握っているのだ、という話。
電子材料で、だが。
日本は「素材」で勝つ! 収益悪化で苦しむ電機大手を横目に、史上最高益を更新する日本の電子材料メーカー。
「デジタル素材」を武器に、圧倒的世界シェアでぶっちぎる、知られざる超高収益業界の成功の秘密を探る。
デジタル機器と云えばパソコンやデジカメ、液晶テレビにプラズマテレビなんかが頭に浮かぶが、テレビ以外で日本が圧倒的に頑張ってるような雰囲気は感じず、負け組ではないかもしれないが、さりとて勝ち組でもないという実に曖昧な立ち位置にいるのが日本のイメージだ。
しかし、「電子材料王国ニッポンの逆襲」によると、デジタル機器を作る電子材料の世界で日本はぶっちぎりの世界シェアを握り、他国がせっせと作った機器が売れれば売れるほど、日本の電子材料メーカーにガッポガッポとお金が入ってくるということらしい。
そしてこの日本にとって実に具合の良い状況は、そう簡単には覆すことはできない、というこれまた気分の良い話もあって、電子材料業界に無関係なオレでもちょっと鼻が高い気分になってしまうくらいである。
そんな話が次々と「プロジェクトX」風に書かれているのだが、じゃあデジタル機器の儲けのうちどれくらいが電子材料メーカーに流れ込んで、全体の割合はどないなっているのかというのはよく見えてこなかった。
というか景気の良い話が次々と登場して事細かく把握できなくなり、「全体的に日本は良い感じなんだな」という漠然とした読後感になってしまったのは本が悪いわけじゃなく私の頭が悪いのだ。
電子材料王国ニッポンの逆襲
泉谷渉
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