シュリーマン旅行記清国・日本
H.シュリーマン
講談社
トロイア遺跡の発掘で有名なシュリーマンが残した清国(現中国)と江戸時代の日本の旅行記。
>>内容<<
トロイア遺跡の発掘で知られるハインリッヒ・シュリーマン。
彼はその発掘に先立つ6年前、世界旅行の途中、中国につづいて幕末の日本を訪れている。
3ヵ月という短期間の滞在にもかかわらず、江戸を中心とした当時の日本の様子を、なんの偏見にも捉われず、清新かつ客観的に観察した。
執拗なまでの探究心と旺盛な情熱で、転換期日本の実像を生き生きと活写したシュリーマンの興味つきない見聞記。
江戸時代末期の日本の姿が克明に描かれており、当時の江戸の人々の生活が生々しく伝わってくるし、これを読んで知ることも多い。
清国に比べて日本に対しては世界で最も清潔な国民であるとか、賄賂を受け取らない役人であるとか、絶賛と云って良いくらいなので、日本人が読むと実に気分が良いわけであるが、あくまで江戸時代の日本人なので、残念ながらそこのところは割り引いて気持ち良くなるべきであろう(笑。
また、執拗なまでに物の値段や大きさを緻密に記述している辺りにシュリーマンの性格が見えてくる。
昔に書かれておりなおかつ翻訳でありながら文章は平易で読みやすいので、江戸時代に生きた人々ってどんな感じ? を知るには格好の良書だろう。
彼を世界的な有名人にしたトロイア遺跡発掘に関しては、正直、眉唾な点が多いが、それが故に日本に対する記述も怪しい、とはならないことを祈る。
シュリーマン旅行記清国・日本
H.シュリーマン
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