素顔なのか仮面なのかはわからないが、「毒舌なんだけど実はイイ人」という理想的なポジションを「おしゃべり糞野郎!」の一言で拍手喝采とともにぶんどった超売れっ子(毒舌)タレント有吉弘行の「お前なんかもう死んでいる プロ一発屋に学ぶ50の法則」をKindle版で読んだ。
もろ語り下ろしの内容でサクッと読めてしまうんだが、それなりの啓蒙書、自己啓発系ビジネス書(ダウナー系だけど)に比肩しうる名言が散りばめられた1冊である。
冒頭からこんな調子。
この本は、夢や希望、明るい未来を期待してるヤツらに現実を見せてやる本です。甘えて生きてるお前らにこう言いたいです。「お前なんかもう死んでいる」って。
小気味良くスパッと言い切ってくれます。
「お前なんかもう死んでいる」
と。
実に爽快じゃないですか。
昨今の○○系芸人については、思いもよらぬ方向からまだどこにもいない空席の○○系芸人が登場。
もしあそこで切ってたら、僕今頃、「宦官系」で売ってたと思います。いくらチンコ切ったからって、一切そっちの気がないんで、〝チンコないのに男〟っていう昔の中国の宦官みたいになってたと思うんですよね。そうなると、オネエ系っていうより「宦官系」。 「宦官系芸人・有吉弘行」になってたと思います。
この衝撃の宦官系芸人のくだりは秀逸。
おネエ系は椅子取りゲーム状態だが、まだこの席には誰も座ってない。
有吉先生にはぜひ再考をお願いしたい。
僕のことを「二発屋」って思ってる人も多いと思います。でも実は僕、二発屋じゃないんです。一発目の猿岩石のときは芸人じゃなくて「歌手」とか「アイドル」ってイメージだったんですよね、世間では。で、今度は「芸人」なんで、実は二発屋じゃなくて、違うジャンルで一発ずつ上げてるっていうのが正解なんですよね。
確かそうだわ。
だからプロ一発屋なのね。
一発屋を別ジャンルで2回経験する人なんてそうそういないな。
「自分はもっとデキるんだ」とか、「今の自分は違う」とか思うのが一番しょーもないと思いますね。それよりも「自分なんかダメだ」とか言ってるほうがいいんですよ。僕も仕事なくて金なくなったときに、「俺なんか無理だ」と思ったら楽になれました。「もう俺なんか無理だ、どうせ永遠にどん底が続くんだ」って思ったら意外とふっきれちゃうもんなんですよね。だからポジティブが正解だと思ってるようなヤツとかに言いたいです。「お前なんかもう死んでいる」って。
また名言を頂きました。「お前なんかもう死んでいる」。ありがとうございます。
それにしても有吉自身は自分のことを芸人と呼んでいるのだが、今の有吉しか知らない、もしくは電波少年での猿岩石〜空白期間(「あの人は今」の時代)〜今の有吉しか知らない人からすると、有吉はかつてのアイドルや現タレントではあっても、芸人としての有吉ってピンとこないと思うのだがどうだろう。
少なくともネタを見る機会なんてないし、ネタでブレイクしたわけでもない。
本書の中でも、ネタはやらないとか単独ライブはおろかライブもやらない、という芸人とは思えない一貫したスタイルについて言及しているのだが、そういう芸人がいてもおかしくないな、有吉だもんな、と妙に納得してしまった。理由は本書でどうぞ。
タレント本なんてしょーもないのが多いけど(しょーもないからこそイイという観点もある)、本書は結構オススメ。