フォーン・ブース/Phone Booth
監督:ジョエル・シューマカー Joel Schumacher
2002年 アメリカ
電話を切れば、殺される
仕事のためなら嘘つきまくりの自称一流パブリシストのスチュ(コリン・ファレル)が、鳴った電話をとったら謎の男に命を狙われるハメになるというサスペンス映画。
>>内容<<
全編ほぼ電話ボックスの中だけで展開する異色のサスペンス・スリラー。
たまたま鳴っている公衆電話に出てしまったことから何者かに命を狙われるハメになってしまった男の悲惨な運命を、緊迫感溢れるタッチでスリリングに描く。
舞台はほとんど電話ボックスとその周辺のみ。
無関係でも電話のベルが鳴ると出てしまうという現代人の習性に着目した点は面白い。
スケールは小さいが、アイデアは過不足なく詰め込まれていてテンポが良く、まとまりもある。
謎の男によりスチュは本当の自分を妻だけではなく世界中に知られてしまうことになるという流れもイイ。見方を変えるとこの映画はコメディでもある。
謎の男と警官との間での駆け引きはなかなか面白い。
まぁ、捜査の責任者が異様にキレ者だったりするとこや、謎の男はかなり用意周到なくせに単純なミスを犯して追い詰められる、という点はご都合主義的と感じなくもないが、テンポと相殺ということでイイのではないだろうか。
また、スチュを演じるコリン・ファレルの演技が巧い。
場面の動きがない作品だけに脚本がどれだけ良くても演技が悪ければ退屈になるが、そこは見事にクリアしている。巧い俳優だ。
基本的に物語の進行はリアルタイム。
リアルタイムと云えばドラマ「24」だが、「フォーン・ブース」の方が遥かにタイム感があるし、作品としても数段優れている。両方ともキーファー・サザーランドが出演しているのは偶然だろうか。
欠点としては、犯人がスチュを殺そうとする理由が弱いと思う。
それまでに殺してきたと云っている人物たちと比べると、スチュはえらく格が小さい。
だったら無差別的な犯行にした方が言い知れぬ恐怖を感じるんじゃないだろうか。
それから、電話を切ったら殺すと云ってるのに、実際は切っても殺さないし、謎の男は律儀にまた電話してくる(笑。
このパターンを繰り返すと「殺す」という言葉に信憑性がなくなる。そこが特に残念な点。
フォーン・ブース/Phone Booth
監督:ジョエル・シューマカー Joel Schumacher
2002年 アメリカ
評価: