【映画】ドラゴン・タトゥーの女

ドラゴン・タトゥーの女

デヴィッド・フィンチャーだと「セヴン」の流れを汲む原作付きの映画。
原作は未読だが、映画と併せて結構話題になってた。

スウェーデンを揺るがせた財界汚職事件の告発記事を書きながら名誉棄損裁判で敗訴したミカエルは意気消沈の日々を送っていた。
ある日、彼のもとにスェーデン有数の財閥ヴァンゲルの元会長ヘンリック・ヴァンゲル老人から家族史編纂の依頼が舞い込む。
実はヘンリックの真の目的は40年前に起きた親族の娘ハリエット失踪事件の真相究明だった。
ヴァンゲルはハリエットが一族の誰かに殺害されたと信じていた。40年前に一族が住む孤島から何の痕跡も残さず消えた少女。
成功の陰に隠された一族の血塗られた過去に気づくものの手がかりの掴めないミカエルは、一族の弁護士から天才的な資料収集能力の持ち主であるとして、ある人物を紹介される。
リスベットという名の、顔色が悪く、拒食症患者のように、がりがりに痩せた女。この小柄な女の肩口から背中にかけて、龍の刺青(ドラゴン・タトゥー/ルビ)が異彩を放っていた。
意外なことに彼女はこの事件に異様な関心を示す。そして彼女はハリエットの日記に記された聖書にまつわる数字が、
ロシアの国境付近で未解決のままとなっている連続猟奇殺人事件と関連があることを突き止めるのだった…。

北欧スウェーデンを舞台に土地の名士一族にまつわる猟奇的殺人事件を、フィンチャーが「セヴン」の進化版的な感性で撮影すると、横溝正史とか江戸川乱歩の世界とめっちゃ被るんで、正史と乱歩はリライトしてフィンチャーが映画化すべきです。

という冗談はさておき、「ファイト・クラブ」(エドワード・ノートンって最近見ないがなにしてんだ?)に比べると画作りが寂しく、そっち方面のお楽しみは少ない感じで、登場人物と共に謎解きを楽しみましょうなんだが、(以下ネタバレ気味)消えた少女の遺体が今に至るまで見つかっていないという時点で、「誰かが殺した」的な先入観をあの手この手で印象付けようとしても無駄じゃないか、というか、ますます「めっちゃ生きてる!」と確信するだけで「もうどう考えてもあいつがあの少女の未来だろう、どう考えても」と推理できてしまい逆効果じゃないか。

まさか(あの「セヴン」の!)フィンチャーほどの手練れだから、もうひとつドンデン返しするだろうと思いきや、いやもうこのまま終わるくらいなら、どこぞの飼い犬が屋敷の庭を掘ったらあの少女の白骨化した遺体がコニチワー! 犯人はアイツやでーと白骨化した手がテコでも動かぬ証拠をガッチリ握っていて大団円を迎えるくらいでも可だと覚悟したが、そっち方面にストーリーが転がるんかい! という違う意味のドンデン返しに相成りいまいち消化不良な感じで映画は終了。

で、結果としてフィンチャーと云えばやっぱり「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」だな。