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前作「A」では、オウム真理教の広報担当・荒木浩に密着取材を行い、オウム真理教を内側から記録した唯一の作品(唯一というところがマスコミのヘボさを象徴している)として高い評価を得た。
そしてその続編となる「A2」では、オウム真理教改めアーレフの内部から、教団施設排斥運動に狂奔する地域住民との関係を追う。
オウム真理教(現アーレフ)の広報担当部長を主体とした、出家信者たちの姿をとらえたドキュメンタリー作品『A』撮影終了から2年半ののち、森達也が再び退去直前の足立区のオウム施設を訪れ、カメラをまわしたドキュメンタリー『A2』がDVD化。
信者たちがかかえている矛盾や、社会の側に生まれ始めた「受容の萌芽」を本作で描き出し、2002年山形国際ドキュメンタリー映画祭、市民賞と特別賞を受賞した。
そこに映っているのは、テレビを始めとするマスコミが一切報道しなかった、信者と住民の奇妙な仲間意識や、あまりにも愚かで背筋も凍る地元住民の反対運動(もはやギャグでしかない)と、よくわからない対応をする警察である。警察よりも右翼の云っている事のほうがよっぽどスジが通ってたりする事の顛末なんかはかなり寒くてガクガクブルブル。
こうしたテレビで見られなかった映像がこの作品には詰まっている。
最終的にこの作品が語らんとしているのは、アーレフとの共生ができるのか? ということだろう。
その共生に関しては、その可能性の一端が見えてくるが、不可能とも思える溝も感じられる。
それは(お粗末な反対住民運動を見ての通り)受け手である我々の態度があまりにも硬直化していることもあるが、アーレフに留まる人たちが、世間との隔絶が過ぎた故か、人間関係においてあまりにも幼稚な面が見受けられるからだ。
しかし、事件をより解決するために必要なのは、おそらく共生であり、彼らを疫病神のように転々とさせることではないだろう。
そういうことからすると、思考停止としか思えない善悪の二元論が幅を効かし始めた今は、この国の正念場なのかもしれない。
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