時間軸では「女の子ものがたり」の続編にあたるのがこの「上京ものがたり」。
Kindle版がセールになっていたので、「女の子ものがたり」「上京ものがたり」「営業ものがたり」をまとめて購入した。
田舎から出てきた女の子が東京で暮らしていくために、同棲したり水商売を始めたりと、何とかギリギリ暮らしていくが、最後には好きな絵の仕事で認められ、作家としてデビューしていくまでを描く、感動ものがたり。
働かないヒモ同然の優しいだけの男と同棲しながら、歌舞伎町のミニスカパブ(そんなのあったんだ)でバイトしていた話や、サエないカットモデルのエピソードが読み手を悶々とさせるが、どこか達観したようなカラッとした主人公の生き様に、なぜか救われたような気になるこれぞ「ザ・サイバラ」な作風。
物語も佳境に入ってくると、エロ本のカット描きから少しずつ仕事が広がってくる「今の西原理恵子」に繋がる明るいきざしにホッとするのだが、そこには優しくてあきらめのよい女の子から、世の中の残酷さを身につけた強い女への変化も見てとれる。
連載を打ち切られて泣いている女の子に対して「可哀想だな」と思いつつも、「あんたがつまらないから悪い」と心の中でつぶやいてしまうエピソードがとても象徴的である。