多分に個人的趣味で日本映画ベスト5に入る傑作。
いつかこんな映画撮ってみたい!
「ばかのハコ船」「リンダ リンダ リンダ」の山下敦弘監督が、つげ義春の漫画「リアリズムの宿」と「会津の釣り宿」を元に、個性派俳優を配して贈るロードムービー。
駆け出しの監督・木下(山本浩司)と脚本家・坪井(長塚圭史)は顔見知り程度の仲だが、温泉街で出会った女・敦子(尾野真千子)を成り行きで交え、当てのない旅に出る。
音楽をくるりが担当する。
あまり面識のない男2人が旅することになってしまう、というただでさえ面白そうな設定に、まったく見知らぬ女が加わるという謎展開が期待を加速させる。
で、「同じ学年だけど年は1コ違い」という日本人的ツボ(?)、な2人の微妙な距離感の変化が上手く描かれていて、そこに旅の要素が入ってくるのだからオレ的にはケツの穴がムズムズムズムズリアリズムするほどたまらない。
この微妙な距離感がもたらす小ネタをこれでもかと並べていて、人に説明するとその面白さは伝わりにくいこと甚だしいので、とにかく観ればわかる、クスクス笑いをこらえるのに必死になるほど面白い。
また、いちいち会話と間の取り方が面白く、会話にしても絵にしても寸止めに近い切り取り方をしている。しかし、そういう感覚がわからない人にはチンプンカンプンだろうとも思う。
登場する宿も実に個性的で「リアリズムの宿」というタイトルに負けてない。絶対泊まりたくないけど野宿のほうがマシだけど、いい塩梅の宿だ。
音楽は今をときめく”くるり”。
エンディングで流れる「家出娘」は前売り券を買った時の特典ビデオでしか聴くことができなかったが、「ベストオブくるり/ TOWER OF MUSIC LOVER」に収録され気軽に聴けるようになった。
この曲が好きで特典ビデオからMP3を作ったオレとしては複雑な気分である(笑。
もう一生大好きな映画、それが山下敦弘監督の「リアリズムの宿」である。