今までに読んだ旅行記の中で最も面白い一冊。
実のところ、この本は単行本発表直後に買って読み、その後も何度か読んでいるが、何度読んでも飽きさせないなにかがこの本にはある。
ありきたりな表現だとは思うが、この本には「ほんの少しの村上春樹とユーモアと冒険」があるのだ。
でもこの本がオレにとって一番面白い理由は、オレが行った頃のカンボジアやヴェトナムが書かれているからだ。
正確には著者が旅した時期とオレのその時期は一年ほど違うのだが、ほぼ同じ空気を感じることができる。だから特に好きなんだろう。
>>内容<<
インドに行きたかった。
そして僕は職場を捨てて旅に出た。
上海までは船、それから陸路、西をめざす。
中国で”没有”の連発にムッとし、カンボジア人の”ノープロブレム”は、つまり問題大いにありということが身にしみてわかる…。
ベトナム、タイをへて聖河ガンジスへ。三十歳を目前に出発した著者が、アジア放浪の苦闘と、その魅力をしなやかに描く、バックパッカー新世代必携の書。
今読まれるアジアの旅行記と云えば、「深夜特急」沢木耕太郎、「ASIAN JAPANESE」小林紀晴、「印度放浪」藤原新也、といったところが定番だろうが、「上海の西、デリーの東」もぜひそこに加えて頂きたい。(古典だが金子光晴の「マレー蘭印紀行」もオススメ)
哲学的でもなく感傷的でもなく、等身大の旅行記としてオススメしたい。