友だちのうちはどこ?(Where Is the Friend’s Home?)(85点)
名匠アッバス・キアロスタミ監督によるジグザグ道三部作の第1作。
アハマッド少年は隣の席に座る友達のノートを持ち帰ってしまった。ノートを返すためにジグザグ道を歩き隣村へと急ぐアハマッド少年だが、住所を知らないためになかなかたどり着けない。
イランの巨匠アッバス・キアロスタミの映画で初めて観たのがこの作品。
これはまぎれもなくイイ映画。
ストーリーは実にシンプル。
クラスメイトの宿題ノートを間違えて持って帰ってしまった主人公アハマッド君が、ノートを返そうと隣町にある友達の家を探すという話である。
この作品、名前を頼りにひたすら友達の家を探しているだけなのだが、どうしてどうして立派なロード・ムービーに仕上がっている。
アマハッド君の冒険を邪魔するのは、理不尽で無理解で傲慢な大人。
イランの大人が実際こんな感じなのかどうかはわからないが、デフォルメ化しているにしても、観ている側はアハマッド君に思い切り肩入れしてしまう作りになっている。
また、特徴的なのは繰り返しが多いこと。
そもそも家を探してあっち行ったりこっち行ったりってのが繰り返しになってるし、街と街を繋ぐジグザグの坂も印象的。
大人の対応も金太郎飴のように繰り返しだし、アマハッド君の祖父の喋りも内容的には繰り返しになっていて、その内容そのものが「繰り返し云ってわからなかったら、とにかく殴るのがしつけだ」という繰り返しを繰り返しで包んだみたいなことになっている。
このシーンは実に印象的。
だが、祖父の話し相手の反応からすると、そういう因習に対する批判を込めているシーンなんだろうが、どうにもギャグに見えてしょうがなかった。そんな風に思うのはボクだけかもしれないが。
さて、そんな冒険の結果は如何に? というのは観て確認して頂きたいが、ラストが実に可愛い終わらせ方になっている。
それにしてもイランの街中は路地が多い。ほとんど路地なんじゃないか、というくらいである。
そういう場所ばかり映しているせいもあるのだろうが、路地好きなボクとしては、どこまでも路地路地路地路地している映像は大歓迎だ。
友だちのうちはどこ?(Where Is the Friend’s Home?)(85点)