【映画】十三人の刺客

十三人の刺客 通常版
十三人の刺客 通常版

工藤栄一監督、片岡千恵蔵主演の同名映画を三池崇史がリメイクした本作、松平斉韶役の稲垣吾郎の悪役っぷりが評判で、映画も面白そうなので見てみた。

時は江戸時代後期の弘化元年(1844年)。将軍の異母弟にあたる明石藩主松平斉韶は暴虐・無法の振舞い多く、明石藩江戸家老間宮図書は老中土井大炊頭屋敷前にて切腹、憤死した。幕閣では大炊頭を中心に善後策を検討したが、将軍の意により、斉韶にはお咎めなし、となった。斉韶の老中就任が来春に内定していることを知る大炊頭は、やむなく暗黙のうちに斉韶を討ち取ることを決意し、御目付役の島田新左衛門を呼び出した。新左衛門は大炊頭の意を受け、自身を含めて13人で、参勤交代帰国途上の中山道落合宿にて斉韶を討つことにした。

評判通り稲垣吾郎は「かなり悪い」です。
悪役商会的な悪役悪役した顔よりも、スッとした顔の方が今回のような狂気をはらんだ悪役にはピッタリ。演技もなかなかのもん。
事務所がよくOKしたなと思うが、ジャニーズのまだ現役バリバリのスターでこうした悪役を演じた人っているのかな。

映画の流れとしては、「稲垣吾郎演じる松平斉韶は悪いやつだぜ!」→「役所広司演じる島田新左衛門を中心に、悪いやつを倒すメンバーを集めるぜ!」→ 「悪いやつを倒すぜエイエイオー!倒した!」という単純(言い換えれば定番)なもの。

これは演出次第で面白くもなるし詰まらなくもなるという「発想買い」できない映画だ。

「稲垣吾郎演じる松平斉韶は悪いやつだぜ!」のところは抜群のでき。ものすごい残酷な絵を見せているわけでもないのに、ジワジワくる残忍さが伝わってくる。多分、通常の地上波では放送できないのではと思うが、ここを割愛するとエンディングへのカタルシスは一気になくなる。

「役所広司演じる島田新左衛門を中心に、悪いやつを倒すメンバーを集めるぜ!」は一部の人物にスポットはあたるものの、13人と限られた人数でもその他大勢がいたりする。まぁ、それぞれを描くと長くなるから仕方ないかもしれないが、完全版みたいな形できちんと描いたのも見たい気はする。

「悪いやつを倒すぜエイエイオー!倒した!」がエンターテイメントとしては最も大切なところ。大掛かりなセットと迫力ある描写で退屈させないように描けていると思うが、その他大勢の刺客が全然強そうな身のこなしではないのに敵が手も足もでないのは謎。
その点、松方弘樹は昔取った杵柄だけあって殺陣が図抜けて上手い。まぁ、どこかで見たような身のこなしではあるのだが、キレがすごい。一芸があるというのは素敵です。漬物を漬ける以外に芸がない(?)盟友(?)梅宮辰夫とは全然違う。

で、伊勢谷友介の最後が謎なんだが、あれってなんで?

結論としてはちゃんとエンターテイメントとしてできあがった時代劇で、面白い1本。

十三人の刺客 通常版 十三人の刺客 通常版
役所広司,山田孝之,伊勢谷友介,伊原剛志,松方弘樹,三池崇史

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