お父さんのバックドロップ
監督:李闘士男
2004年 日本
読むたびに涙する、中島らもの“伝説の名作”待望の映画化!
僕はお父さんが大っキライ。
見るまでは「チャンプ」のような映画だと思っていた。
>>内容<<
中年プロレスラーとその息子の父子愛を描いた中島らもの短編小説を映画化。
12kg体重を増やしプロレスラー役に挑んだ映画初主演の宇梶剛士と『インストール』の人気子役・神木隆之介共演によるハートウォーミングドラマ。
原作は中島らもの短編小説集「お父さんのバックドロップ」だが、これは未読。
関西人でありながら中島らもの本は一冊も読んだ覚えがないのはこれいかに。
で、バックドロップをすると勝手に予想されるお父さん(宇梶剛士)は、「チャンプ」のジョン・ヴォイトとは違って、そこまで落ちぶれてはいなかった。
その分、「チャンプ」のようなカタルシスはないわけだが、ボディブローのようにジワッとくるものがある良作である。プロレスだが。
まず、下田一雄役の神木隆之介が良い。
「インストール」の時よりもなんかヤバイ感じに良くなっている。
何がどうヤバイ感じになっているのかは云うとヤバイことになるので云わんのだが、とにかくヤバイ感じだ。実にヤバイ。
それに比べて宇梶剛士はずいぶんと大根な演技であるが、それが下田牛之助という名前とモッサリした、良く云えば木訥としたキャラにマッチしていて侮れない。これは計算なのかたまたまなのかわからないのだが、結果的には十分アリである。
原作者の故・中島らもチョイ役で登場。
演技は悲惨なものだが、それをどうこう云う次元の人ではない。
居るだけで十分、という人である。
他界した下田牛之助の妻、下田早苗役が奥貫薫というのも個人的にはツボである。
古き良き時代のプロレスの風景を感じる佳作。この一言に尽きる。
ある意味、プロレス映画の「ALWAYS 三丁目の夕日」。違うか。
お父さんのバックドロップ
監督:李闘士男
評価: