公開から一週間あまり経って観た松本人志の第一回映画監督作品「大日本人」。
細かいフリとネタを散りばめていながらとってもわかりやすい怪作と云ってイイんじゃないかという出来だったが、期待値を100とするならば、観た結果は60と不完全燃焼。
ダウンタウンの松本人志が、企画・初監督・主演を務めて撮り上げた長編映画。
映画配給会社の松竹とタッグを組み、映画製作に乗り出した吉本興業の第1作目でもある本作は、松本自身の考える”ヒーロー像”を描いた異色作。
脚本は松本の盟友で人気放送作家の高須光聖との共同執筆。
出演は竹内力、UA、神木隆之介、後輩芸人でもある板尾創路。
あくまでテレビの延長線上と位置づけ、面白さを追求するコンセプトで撮られた松本ワールドに注目。
松本人志監督作品「大日本人」
以下ネタバレあり。
笑いどころは満載と云ってイイだろう。
発電所の入口にいるおっさんと儀式に出席している防衛庁(?)のお役人2人はイイ味をだしているし、大日本人に変身する際にちゃんとそれ用に衣装(と云ってもパンツ一丁だが)を用意しているところもある意味考え抜かれている(笑。
たまたまかもしれないが、跳ルノ獣(竹内力)が「盛(セイ)、盛(セイ)」と叫ぶ設定は「働くおっさん人形」「働くおっさん劇場」の福田さんの名コメントと被り、板尾の「匂う」の獣と戦う時の大日本人のスポンサーが、毎日香であるのも見事。
怪獣から攻撃を受けてから反撃するという大日本人のスタンスは自衛隊=9条と繋がり、その繋がりは最後の最後に明白なものとなる。
松本人志監督作品「大日本人」
他にも色々なテーマが込められていると読むことはできるが、基本路線はそこだろう。
最後のどんでん返しは意外と云えば意外なんだけど、バカバカしさ的には三池崇史の「Dead Or Alive 犯罪者」には及んでないし(何故か両作品とも竹内力が出演)、エンドロールで流れる映像は「ごっつ~」的なノリの劣化版にしか見えない。正直エンドロール部分が一番見てて痛々しかった。
「VISUALBUM」的であるならいざ知らず、いまさら「ごっつ~」的なノリは「なし」だろう。ちょっと先祖帰りな印象である。
さりとて、公認解説本「大日本人オフィシャルガイド」に掲載されているもうひとつのラスト、というのもちょっといまいちだった。
松本人志監督作品「大日本人」
また、個人的には巨大化した猫が気になったのだが、あの猫はどこに行ったのだろう。あの猫が巨大化する場面は、「大日本人」には誰でもなれるが誰もなろうとしない、ということを云いたかっただけなのだろうか。とても気になる。
本編に登場する小道具は凄く充実というか、松本人志世界の臭いがプンプンしてて面白かったので、というわけではないが、大日本人クリアファイルを購入。
大日本人Tシャツとかもあるみたいだが、劇場には置いておらず残念。あったら買ったのに。