賛否両論真っ二つな「大日本人」から約2年。
外国人にもわかりやすい映画を目指して(?)作られたのは、白い壁に囲まれた部屋に閉じ込められた男(松本人志)の脱出劇と、メキシコの謎のプロレスラーの物語(?)であった。
メキシコのとある町に住むプロレスラー、“エスカルゴマン”。彼の妻は、夫がいつもとは様子が違う事に気付く。その原因は、その日の対戦相手が自分より若くて強い“テキーラ・ジョー”である事だけではなく、他に“何か”が起こりそう、という胸騒ぎがしていたからだ。
時同じくして、水玉模様のパジャマを着た、マッシュルームカットの男(松本)は、ふと目を覚ますと、白い壁に囲まれた部屋に閉じこめられていた。男はその部屋から脱出を試みようとする。
「大日本人」でも思ったのだが、設定は素晴らしい。
いったいこれから何が起きるのだろうかと、松本人志の才能を信じる者としては、これから始まる90分余りに期待せざるを得ない。
が、ん~、お世辞にも素晴らしい出来とは云えない90分に当惑してしまった。
まず、全体的に展開がベタで、映画的にとんがった表現もあまりなく、視覚的にも刺激があまりにもなさすぎた。
バタフライ効果的な演出は、予想だにもしない突拍子もないものだったが、「だから?」と云う感じで、意味を感じなかったし、意味のないことの面白さ、というウケもなかった。
時折入る、アメコミ調の絵もどうかと。。。
最後の昇天していくシーンについては、個人的には「人間として生まれようとする過程」という解釈。
白い壁に囲まれた部屋は「睾丸」で、松本人志演じる男は「精子」で、みたいな(笑。
北京オリンピックの開会式もちょっと思いだした。
「神になった」とか、そういう解釈もあるみたいだけど、それはベタすぎるんではないかと。まぁ、別にエエけど。
で、「大日本人」と「しんぼる」共に、あの特撮というかSFXみたいなものというか、びみょうにちゃちな絵はどうにかならないのものだろうか。
相当プロモーションをかけていたにもかかわらず、映画館はガラガラだったのも気になった。
2作とも個人的にはヒットとはいかなかったけれども、どこまでも監督・松本人志には期待したいので、次回作も作れるくらいの興収には達してほしいなぁ。