ロッキー・ザ・ファイナル Rocky Balboa
監督・脚本:シルヴェスター・スタローン
2006年 アメリカ
NEVER GIVE UP
自分をあきらめない
ファースト「ロッキー」以降、いまいちピンとこない「ロッキー」シリーズ。
まるでそれはデビュー作がガツンと売れたミュージシャンの第2作以降が、LA録音だのとなり、ひたすらゴージャスな音作りに傾倒していく姿と被る。
だから最後を謳った本作も似たようなもんだろうと思ったが、せっかくだからスタローンの想い出祭り「ロッキー・ザ・ファイナル」に参加してみた。
ボクシング界から引退したロッキー(シルヴェスター・スタローン)は、かつての栄光の面影はなく、小さなイタリアンレストランを経営して生計を立てていた。
他界した愛妻エイドリアンとの思い出にすがって生きているロッキーは、己の心の喪失感を埋めるかのように、再びプロボクサーのライセンスを取得するために立ち上がるのだが…。
観終わると・・・スタローン、ちゃんと脚本書けるじゃないか! 監督できるじゃないか! と目から鱗。
「ロッキー・ザ・ファイナル」にはファースト「ロッキー」の輝きがあった。
もちろん、歴史に残る大傑作には及ばないが、エンディングにふさわしい輝きがあった。
特に白眉だったのは、プロボクサーのライセンスを再び取得する際、協会に年齢を理由に(?)却下された時の一言、
「人は老いたら様々なものを失っていく。その中でたった一つオレに残ったものを奪わないでくれ!」
ザックリ抜粋だが、この時の啖呵は素晴らしかった。
個人的には「ロッキー・ザ・ファイナル」一番の見所だと思う。
ファースト「ロッキー」では、トレーナーのミッキーの願いを撥ねつけた後、立ち去るミッキーを追いかける無言のシーンが最高の見所と、「ロッキー」の見所は試合のシーンじゃなくてドラマ部分にあるんだな。
他にも良いシーンが多いので、「ロッキー」と云えばボクシング、というイメージだけの人は、ぜひドラマ部分に注目してご覧あれ。
さて、素晴らしかった「ロッキー・ザ・ファイナル」の残念を。
実は本作の原題は「Rocky Balboa」。ロッキーのフルネームだけである。
これを「ロッキー・ザ・ファイナル」、ご丁寧にも「Rocky The Final」などというアルファベットのタイトルまで用意してしまったのは、「無粋」の極みだろう。
商売上「ファイナル」と煽って売り上げたい、というのはわかるが、映画という文化を担うという点からは残念な仕事をしちゃったな、と思う。
「Rocky Balboa」という「最後のロッキー」を宣言した実に簡潔なタイトルは、「Rocky」というタイトルで始まった映画の最後を飾るにふさわしいと思うのだが、いかがだろう。
ロッキー・ザ・ファイナル予告編
予告編が実に素晴らしかったので掲載。
まだ本編を観ていない人は、予告編を観てテンションをUP、本編観た人はあの感動をもう一度。
さぁ、これでもう一つのスタローン想い出祭り「ランボー/最後の戦場」(原題JohnRambo→こっちもフルネームだ)に期待が持てる。
こちらもファースト「ランボー」が傑作、その後は・・・なだけに、素晴らしい花道となってほしいところだ。