A Teenage Opera : Original Motion Picture Soundtrack
Mark Wirtz/マーク・ワーツ
1996年
先のエントリーで Mark Wirtz の「The Fantastic Story Of Mark Wirtz And The Teenage Opera」を取りあげたが、この作品を取りあげないとまさに本末転倒。
ベスト・アルバムだけを聴いてそのアーティストの全貌が明らかになったかのような幻覚的エントリーとなってしまうので、Mark Wirtz の代表作「A Teenage Opera」についても書く。
1967~1968年にかけて Mark Wirtz はポップ・オペラというコンセプトで楽曲を作り、最初にリリースしたシングル「Grocer Jack(Excerpt From A Teenage Opera)」がヒット。
幸先のいいスタートを切ったが、その後のシングルがヒットせず、彼の制作会社コリノ・プロダクションが総力をあげて作ろうとしたアルバム「A Teenage Opera」は、未完の大作としてお蔵入りに。
しかし、1996年に英RPMがこの未完の大作を復刻させ、その全貌が明らかになったのが本作品。
冒頭の The Mark Wirtz Orchestra による(1)「Theme From A Teenage Opera」の美しいメロディからアルバムの世界に有無を言わさない力で惹き込まれる。
シングル・ヒットした(3)「Grocer Jack(Excerpt From A Teenage Opera)」は Keith West のヴォーカルと、子供たちのコーラスでファンタジックな曲。オーケストラのアレンジもエエですねー。ポップさと荘重さが見事なバランスで混ざり合ってる。ちなみに Keith West は Tomorrow のヴォーカリスト。
Steve Flynn という偽名で Mark Wirtz 自身が歌いシングルとしてリリースされたサイケ・テイストな(5)「Mr.Rainbow」は、ストリングスのアレンジが絶妙。これ名曲。
このアルバムの中ではロック色が強いちょっと毛色の違う(7)「On A Saturday」もシングル・リリースされ、Keith West がヴォーカルのこれまた名曲。これがヒットしてないってんだからわからんもんだ。
アルバムの真中に挟まれるようにして収められた(11)「Grocer Jack(Reprise)」は、アルバムをグッと引き締める役割。今や Reprise は定番中の定番な手法。
(14)「(He’s Our Dear Old)Weatherman」は必聴の名曲。3分ポップの中に101種の音を盛り込むという手のかかった作品で、非常に複雑ながらキャッチーなポップとしてしっかり成立している。(4/22)「Paranoiac Woodsutter」と原形は同じ。Skip Bifferty 的でかなりお気に入りの1曲。
(15)「Shy Boy」は Nick Lowe がヴォーカル。Kippington Lodge 名義でシングル・リリースされてて、Tomorrow の1stにも収録。
ジャケからしてサイケデリックにイケてるし、ロック・オペラのハシリとなる(はずだった)アルバムとしても聴く価値大の遊園地的快楽大名盤。
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・A Teenage Opera : Original Motion Picture Soundtrack/Mark Wirtz(2006)
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