左は我家の衛星写真だ。
もちろん、写ってる全てではないにしても、我家が含まれている事は確かで、ということは、我家の衛星写真である、と云い切ってもイイだろう。
でまぁ、衛星写真のことはどうだってイイのである。
オレがしたいのは、結婚式の話だ。
日曜日の結婚式の後、披露宴−二次会−三次会と池袋の宴は続き、オレは11半頃に席を立った。あえて云うならば、渋い大人を演出して席を立った。
外は雨だった。
デジカメにダーツマシンに三次会の飲み代タダ、という幸福感に包まれて調子に乗ったオレは、電車で帰るのが面倒になり、カサもないし買うのも面倒だし濡れるの嫌だし、と駄々っ子化し、タクシーに乗った。
池袋から我家まではおよそ20分。
外は雨だった。
が、さっきとは違う雨になっていた。
大降りになっていた。
カサがない。
タクシー降りてから家に帰るまでの道のりで大変なことになるかもしれない、とオレは思った。
雨よ、やめとは云わないが小降りになってくれ。
少し可愛い顔をして願った。
豪雨になった。
タクシーの運転手が云った。
「お客さん、カサ持ってます?」
キミ最高。オレはキミが大好きだ。
持ってないと告げると、
「じゃあカサ1本持っていってイイですよ、トランクにありますから」
キミ最高。オレはキミが大好きだ。
よく見るとキミ、ロバート・デ・ニーロに似てるかも!
普段の行いが良いとこういう親切に巡り合う。
普段の良い行いに心当たりは全然ないが、多分、オレの気づかないところでオレがとてつもなく良い行いを繰り返し飽きるほどにオレがしていたのだろう。きっとそうだ。すげーよオレ!
豪雨の中、タクシーは早稲田通りの我家の近くに停車した。
オレの大好きなタクシードライバー(ロバート・デ・ニーロ似確定)は豪雨の中、トランクを開け、「これでイイですかね」とコンビニでよく見かけるビニール製のカサをオレにさしだした。
「すぐそこですから問題ないです。ありがとうございますー」
カサを受け取り、肩からは引き出物とデジカメとダーツマシン(これが結構大きい)を下げたゴージャスな男はビニール製カサを手に小走りを始めた。
もう人生で何度やったかわからないカサを開ける動作をしながら小走る。
カサが開かない 小走る。
カサはある。が、開かない 小走る。
カサを開けようとする。グイグイグイグイーッ。
カサは高級マツタケの軸のようにしなるだけ 小走る。
カサを開けようとする。グイグイグイグイーッ。
カサの先端が激しく宙を舞う 小走る。
他人が見れば、降りかかる雨粒の全てをライト・カサ・セイバーで切り裂くジェダイの騎士のように見えただろう。しかしそこには他人はいなかった。豪雨。小走る。
「なんで開かへんねん! ウリャウリャウリャーーーー」
つい声が出てしまう 小走る。
顔面に滝のごとく流れる雨! 小走る。
「クソーなんでゃゲアgレbjとくぃらふぁdlkvヵねん! がりえあぼえくぁbーーーーー!」
完全にパンツが浸水してる! 小走る。
カサを開けようとする。グイグイグイグイーッ。開かない。
「ゃゲアggふぇあqgrとくぃう:qjdfまrレbjとくぃらふぁdlkvヵねん! がりdさjgqpろgjkんzvんcbmrqんrqgrqrgえあぼえくぁbーーーーー!」
グイグイグイグイーッ。開かない。
「ゃゲアggふぇあqgrとくぃう:qげあgqgrq43q4g3jdfまrレbjとくぃらが5い7いltぇ78えgjfxhふぁdlkvヵねん! がりdさjgqpろgjkんzvんcdさげrqrgqあbふぁfばbqてtrqjdy5得737mh、とぉいお5985fj、mrくdzxyらうyうゆw67う8kbmrqんrqgrqrgえあぼえくぁbーーーーー!」
グイグイグイグイーッ。開か・・・!
来た! バリバリバリバリーという音と共にカサがその翼を大空に向かって広げた。
家の前だた。