【本】いい人になる方法/ニック・ホーンビィ

ニック・ホーンビィ著「いい人になる方法」の画像

いい人になる方法(How to be Good)

音楽オタクな「ハイ・フィデリティ」、サッカーオタクな「ぼくのプレミア・ライフ」、賢い少年とどうしようもない大人の「アバウト・ア・ボーイ」、どれも面白いニック・ホーンビィの最新作は何故か女性の一人称な作品。

「いい人」を自認する医師ケイティ。
ふと浮気した彼女は、ふと夫に離婚を持ちかける。
夫のデイヴィッドは怒れる毒舌コラムニスト。
ところが離婚話を契機に、加速度的に「いい人」と化してゆく。
自宅に癒し手を住まわせ、子供のおもちゃを施設に寄付し、ご近所に呼びかけてホームレスに部屋を提供する―翻弄される一家を通して現代の“善”をシニカルに問う英国No.1ベストセラー。

「いい人になる方法」はサラッと読めるわりに内容はかなりブラック。

あらゆる点で「いい人」になったデイヴィッドは家庭にトラブルを持ち込み、自分は「いい人」だと自負していたケイティは、「自分はいい人なんかじゃない」のかもと自問自答。

「いい人」や「いいこと」に対する疑念をズバリとついてくる。

結局のところ疑念に対する解答は与えられないまま終わるのであるが、つまるところ「いい人」「いいこと」なんてのは自身との相対的な位置関係と距離を考えてどこまで適用していくのか、みたいなところで決まってくるもんなのかな、みたいな感想を持った。

翻訳はおおむね良好であるが、フランスのバンド AIR を「エアー」と訳しちゃってるのは如何なものか。「エール」と訳さないと日本の「AIR」とどうも被っちゃいます。

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いい人になる方法(How to be Good)