バンデットQ(Time Bandits)
- 監督:テリー・ギリアム
- 脚本:テリー・ギリアム / マイケル・ペイリン
- 出演:クレイグ・ワーノック / シェリー・デュヴァル / ジョン・クリーズ / ショーン・コネリー
- 公開:1981年
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まっさかさまに翔んでくる。冒険と笑いの《ハッピー・ファンタジー》!
ジョージ・ハリスンは言いました「夢を見失ったらオライナエ少年になれ、少女になれ。」
当時、ジョージ・ハリスンが製作総指揮に名を連ねたのが話題になった鬼才テリー・ギリアムのカルトSFファンタジー映画。
原題は「Time Bandits」なのだが、それがなんで「バンデッドQ」なのかはよくわからん。
「Q」とはなんぞや。本編には「Q」なんて言葉すらでてこない。ボンドなショーン・コネリー ((「Q」は、ジェームズ・ボンドを主人公とした小説及び映画作品に登場するキャラクター。))が出演してるから「Q」なのだろうか。 ((「バンデットQ」は配給会社である東宝東和がつけた邦題(原題は「Time Bandits」)で、「ウルトラQ」という人気テレビ番組を意識したと云われているそうな。「ウルトラQ」は円谷特技プロダクションとTBSが制作した特撮SFドラマ。))
両親に相手にされない孤独な少年が、自分の部屋で出会った6人の小人に導かれ時空を超えた旅に出かける。
シャーウッドの森からタイタニック号まで舞台は目まぐるしく変わり、人物もアガメムノン王(S・コネリー)から巨大な海坊主、悪魔、はては造物主まで登場する大にぎやか編で、ファンタジーの醍醐味がふんだんに味わえる。
「モンティ・パイソン」一派のT・ギリアムが製作・監督した作品で、後の「未来世紀ブラジル」や「バロン」に通じる、ダークな雰囲気も味わえる。
現在、入手できるビデオは全長版だが、劇場公開時、地方では「幻魔大戦」(約135分)との2本立てとなり10分カットされた上に、作品の本意をないがしろにする編集が行われていた。
さてと、ストーリーを超かいつまんで書くと、両親に阻害されている少年ケビンと、神様の地図を盗んで時空の抜け穴を駆け巡る自称盗賊団の6人の時代をまたにかけた冒険物語。
しかしそこはテリー・ギリアムなわけで、ただの冒険ファンタジーになったりしない。
実にブラックで、汚いものは汚く、バカはバカで、歴史上のヒーローもおバカなただの人間様に成り下がったりしている。
なかでもピーターパンは最高にステキなキャラ(ファンは不愉快だと思うが)になってるし、意味もなく貧乏人を殴りつけるピーターパンの手下はさらにステキな人物になっていたりする(このシーンは公開当時はカットされており完全版にしか入ってないようであるが、かなり笑えた)。
昔のイギリス映画ってこんな意味不明に荒々しいヤツが頻出するけど、そういうのたまんないです。私なんてどっちかと云うと理屈屋なので、それが故に意味不明に荒々しい登場人物に魅力や興味を感じたりするのかもしれない。
ネタバレになってしまうが、地図を取り返すべく主人公達を追いかけ回す神様は、まんま会社役員みたいで最高。
悪魔の手下はピーターパンのそれとは違ってイイ人ばっかり、なんてのもギリアム的視点で面白い。
こういう視点からモノを作れるのって日本じゃ松本人志くらいなもんだろうな。他の人がやったら狙ってると思われるか嫌な奴だと思われて終わりって感じです。
こういうデタラメとも思える人達が登場しまくっていても、「なんか意味があんじゃないの? よくわかんないけどオモロイ」と感じさせてしまうところが、誰にも真似できないギリアムのギリアムたる所以。
この映画が公開された時、ジョージが関係してるってんで観に行くつもりにしてたんだけど、行けなかった。
友達が誰ものってこなかったんだねー。
リアルタイムで観ていたら決してオモシロイだなんて思わなかっただろうなー。誰ものってこなくて良かったと思うよ(笑。みんな賢いわ。
でも今観るとオモシロイ。人それぞれその映画を観るに適した時ってのがあるんだろう。今回は適してたってことでしょう。
ジョージ・ハリスンって人は、ビートルズのメンバーの中でも一番映画に深く関わっていて、自身のレーベルを立ち上げていくつかの作品を世に送りだしている。
その最初の作品というか、レーベルを立ち上げるキッカケにもなったのが、この「バンデッドQ」。
ジョージはその落ち着いたイメージや音楽(一部はめちゃ実験的ですが)のわりに、ブラックなテイストの映画を好んだりしていたようで、モンティ・パイソンの面々との交流の深さからもそれが伺える。
そういやエンディングではジョージ・ハリスンによるテーマソング「オライナエ/Only A Dream Away」(「Gone Troppo」収録)が流れます。
昔、ラジオで流れたのをテープに録音して狂ったように聴いたのを思いだしたが、今聴いてもなかなかイイ曲。一緒に「オライナエ!」って歌ってしまいました。