奇想遺産-世界のふしぎ建築物語
鈴木博之/藤森照信/隈研吾/松葉一清/山盛英司
新潮社
眺めてるだけでとっても面白いのだけれど、そこに添えられている(というか見開きの半分はテキスト)文章も真面目に面白い、世界の不思議な建築物を集めた写真集?
時には風景までをも歪める「奇景・奇観」。
都市の奇怪な象徴を意図した「奇塔・奇門」。
不思議な形をきわめた「奇態」。
知的研鑽を提起する「奇智」。
自己流の風流をここまでやるかと思わせる「数奇」。
神仏の霊験を表現した「神奇」。
既成概念に確信犯的に叛く「新奇・叛奇」。
どこから見ても、なんだかヘン! 奇妙なかたちの建物が私たちに語りかける77の旅の物語。
こういう本はグダグダ説明してもしょうがないし、説明もできない。
百聞は一見にしかず、だ。
なので、77の不思議な建物のうち、気に入ったものをザッと紹介。
カール・マルクス・ホフ(ウィーン市)
ひたすら巨大な市営住宅(集合住宅)カール・マルクス・ホフは全長1km(笑。
その名の通り共産主義の名残り。
一回住んでみたいものだが、ご近所づきあいとかどうなってんだろうか。
もうこれひとつの街だな。
ジョンソンワックス本社ビル(アメリカ)
昔の近未来的なイメージ。
こんなオフィスで働いてみたい。
かの有名なフランク・ロイド・ライトの作品。
泥の大モスク(マリ共和国)
世界文化遺産ジェンネにある泥で作られた巨大なモスク。
宮大工が泥を補強して創建当時の姿を保っているらしいけど、これ全部泥だなんて信じられん。
旧ムニエ・チョコレート工場(フランス)
こういうのは日本にはないだろうな。
つか、日本には似合わない。
笠森観音(千葉県)
東京に住んでた時に知ってれば行ってた。
東京に思い残すことはあまりないが、増えた。残念。
会津さざえ堂(福島県)
本書の中で一番目にも頭にも面白かったのがコレ。
さざえ堂という建物は何ヶ所かあるらしいが、会津さざえ堂が一番有名どころのよう。
geocitiesに公式サイトを置いているのがなんだか懐かしいというか心が温まるというか。。。
基本的に面白い本だが、全体に通じる残念な点は、写真の扱いが小さいところ。
テキストのボリュームが結構あるので、読み応えはあるのだが、建築物の写真がやはり主役。
掲載する建築物の点数を減らしてでももう少し写真を大きく、そしてバリエーション豊富を希望!
「奇想遺産(2)」の記事も書きましたのでご覧ください。
奇想遺産-世界のふしぎ建築物語
鈴木博之/藤森照信/隈研吾/松葉一清/山盛英司
新潮社
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