古代文明の謎はどこまで解けたか〈1〉失われた世界と驚異の建築物・篇
ピーター・ジェイムズ/ニック・ソープ
太田出版
引っ越しの荷物整理で本を大量に処分したのだが、残す本を選んでいる最中に再読したくなったのが「古代文明の謎はどこまで解けたか」シリーズ。
「【本】2006年Best of オレ」にも入れた本だが、読み応え抜群なのとボリュームがあるので、荷物を開けるまでの本のない生活の慰めにとダンボールに放り込まずに携帯して読んだ。
>>内容<<
アトランティス、ソドムとゴモラ、ストーンヘンジ、ピラミッド、スフィンクス、イースター島のモアイ像、ロンゴロンゴ文字…いまだに解明し尽くされていない古代文明の謎に、DNA判定・放射線年代測定などを駆使する最先端の考古学はどこまで迫っているのか?図版を100点収録。
考古学博士と考古学ジャーナリストのコンビがおくる、正統派・古代文明謎解き本の決定版。>>目次<<
第1章 失われた世界とカタストロフィ
- アトランティス―失われた大陸はふたたび見いだされたか?
- ソドムとゴモラ
- ポールシフト ほか
第2章 空を見つめて
- 巨石時代の天文学
- オリオン・ミステリー
- 太陽が静止した日? ほか
第3章 驚異の建築技術
- ストーンヘンジ
- ピラミッドはどのようにして建造されたか?
- スフィンクスの謎 ほか
古代の遺跡、例えばピラミッド&スフィンクスやイースター島のモアイ、ペルーのティアワナコ、ストーンヘンジ等は見るだけで、「どうやって作ったのだろう」じゃなくて「古代人にこんなん作れんの?」といった思いがわきあがってくる。
こうしたわきあがってくる思いを、「神々の指紋」で一躍有名になったグラハム・ハンコックのようにオカルティストは巧みに商売に結びつける。
ある意味、矢追純一なんかもそっち系でご飯を食ってる人だけど(子供の頃はこの人の本をよく買ったもんだ)、ハンコックのように(一見すると)論理立てた説明で信じさせようという気概に欠けるエンタメ系の存在なので笑えるが。
そうした超古代文明史のロマンは感情的に理解できるが、「こうだったらイイのになぁ~」はなかなか現実にはならないもので、古代史の謎とされていたところが、どこまで科学的に解明されたかの最新情報が本書には記されている。
ほとんどのケースで超古代文明のロマンは否定されてしまっているが、だからといってロマンがないわけじゃない。新たなロマンがそこにはあるのだ。
著者には古代史の奇跡的な出来事に対してもなんとか説明を試みようとする姿勢が見られ、他の頭から否定しようとする本とは一線を画する知的冒険が味わえるのが楽しいし、そういうスタンスで書かれている本はとてもユニークだろう。特に「太陽が静止した日」の話は面白い。
古代史に興味がある人は必読の一冊。もちろん、ハンコック大好きな人も読んでみるべし。
古代文明の謎はどこまで解けたか〈1〉失われた世界と驚異の建築物・篇
ピーター・ジェイムズ/ニック・ソープ
太田出版
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