GOAL!/ゴール!
監督:ダニー・キャノン Danny Cannon
2006年 アメリカ/イギリス
少年の夢は、みんなの夢になる。
基本的にサッカーの映画と聞くと気になるところ、評判も上々のようなので観てみた。
2006年のワールドカップが背景という設定で作られた、サッカー映画3部作。
この第1部では、メキシコからアメリカへ不法入国した一家の青年が、スカウトされ、ニューカッスル・ユナイテッドの選手としてイギリスのプレミア・リーグに出場するまでを描く。
スタジアムでの熱狂やニューカッスルのチーム事情、スター選手の私生活など、FIFAが全面協力しているだけあってリアル度は満点。ただゲームシーンの迫力は予想を上回るほどではない。
しかし、本作のすばらしさはドラマ運びのうまさにあると言っていいだろう。幼いときからの移民としての負け犬意識と、そこから這い上がる根性。そしてイギリス行きを反対する父や、自分自身との葛藤。万国共通のスポ根ドラマの要素が自然に組み込まれているのだ。
すべての要素がうまく絡み合い、ドキュメンタリーのような感動が生まれることになった。
サッカー映画3部作というサッカーのみならずスポーツを題材にした映画としては壮大なスケールなんじゃないかなと思うが、1作目は主人公が草サッカー選手からプレミアリーグに出場するまでの物語。
父親との確執や恋愛、そして挫折から栄光へと、ストーリーは基本的にベタベタの王道。特筆に値する点はまったくないし、FIFA 全面協力という点ではいたしかたないのかなと思う。
そしてウリとなるはずのゲーム中の映像も期待外れ。ニュース映像や中継の方が10倍素晴らしいし、主人公は役者にしてはサッカーが上手いのかもしれないが、プロ選手としては動きが怪しい。
特にシュートの軌道にまったく力が感じられないし、お得意のドリブルにしてもスピード感やリズムにキレがない。まだ「ベッカムに恋して」の方が撮り方は上手だったように思う。
3部作ということで今後が気になるが、第2作は主人公がレアル・マドリードに入団し、第3作はワールドカップが舞台となるようだ。
おそらくすべて幸運に包まれてトントン拍子に物語が進んでしまうと思われるが、こういう試み自体が珍しいと思うので、続編も観てみようかと思う。
GOAL!/ゴール!
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