色盲(何故か変換できずMSIME2002)という言葉は知っている。
色弱という言葉も知っている。
だけどその実情はまったく知らない。
何故「その実情が一般に知られてない」のかはいくつかの理由がある。
「聾唖」「盲目」に比べて「色盲」は云われなければ分からない。
そんな云われなければわからない「色盲」は、進学・就職に多大なる制限がかけられ、遺伝することから結婚にも響くということでタブー視されてきた。
色覚検査で指摘された“色覚異常者”が、実際に信号や薬の色を間違えることはほとんどない。
それにもかかわらず、あらぬ差別・偏見に苦しむ数百万の人々がいる―間違った認識の放置と撤廃すべき検査・規制を指摘してきた眼科医が書く、つくられた障害「色盲」の実態。
「色盲」に対するタブーのそもそもの発端は、石原式色覚異常検査表という戦時中に作られた非常に敏感な検査表が戦後も一般的な検査で使われ、生活にはまったく支障がない程度の色覚の異常を「色盲・色弱」と一律に判定し、その語感の厳しさから「世間の無知と偏見」をもたらすに至ったところにある。
「色盲・色弱」とされた人に色が実際にどのように見えているかは個人差もあり判然とはしていないが、その言葉のイメージからくる「色がわからない」というわけではないようである。
やや強引に症状をまとめてみると、「ある特定の色の組み合わせや明度、光量によりわかりにくい色がある」ということのようだ。
ただしこれも「周りの助けを借りる」「間違えやすい状況を把握し注意深く見る」等の対処でほとんどの場合は問題なく対処できるようで、このような現実と語感に対する無知と偏見からくるイメージの距離はかなりある。
かつて「色盲・色弱」の進学・就職には様々な制限があった。
ただ、現実にはほとんど(全てと言ってイイくらい)の職業で「色盲・色弱」であることに問題はなく、関係者の努力により徐々に制限も撤廃・改善されてきてはいるようだ。
文章はわかりやすくてそういった分野のことに対して知識がなくても十分に読める。
若干説明が足りないと思われる部分や不必要な重複もあるが、「色盲・色弱」に関して最初に手にとる本としては適しているだろう。