東京ダウンタウン研究会という著者名からわかる通り、ダウンタウンを検証するような本である。
松本のボケは最高や、それを生かすのがワシの役目や。
そして松本のヒキの芸を際立たせるための、浜田のヤクザもビビル炎のつっこみの原型が完成した…。
「東京心中」に続く第2弾。こんどは彼らの「芸」を徹底分析。
だから検証に値するだけ細かい資料にはキッチリあたっているようであるが、散漫な構成とミーハー的なノリが散見されて資料を軽くなぞった感じで実に軽い。
そして誤解・誤読による間違いも散見される。
その代表的な例として、松本人志による武道館ライヴ(CD写真集「松風’95」より)で、「写真で一言」が行われたわけであるが、本書では松本のボケを解説するという作業を行っている。
行うのはまあエエが、「ハリネズミが片手を上げて宣誓の格好をしている写真」での「させへんことを誓います」という松本のボケに対し、いったい何を「させないことを誓った」のだろうか? というコメントを筆者である東京ダウンタウン研究会は残し、「考えさせられるネタの例」として上げている。
コレ、音声で聴けば一目瞭然というか、関西人なら小学生でもテキストで理解できるが、「させないことを誓った」のではなく「刺さないことを誓った」というボケなのである。
それが関西弁になると「刺さない」→「刺さへん」→「刺せへん」と変化するわけで、解説する以前に正確にボケを受け取れてない。
そしてこのボケはベタ中のベタで、ひいき目に見ても面白いとは云えない「考えさせられないネタ」なのである。
こういう間違いや軽いノリ、底の浅い検証で全編が占められているために実に退屈。
単なるダウンタウン好きが頑張って書いたという域を出ておらず、加えて笑いの構造が理解できてないようなのが残念である。
まぁ、とりあえずこういう本を書く時は、関西人に書かせろとまでは云わないが、ちゃんと関西弁がわかる人に校正をさせるべきである。