ちなみに~、私には参勤交代の経験はない。
当たり前だ。
まぁそれはそれとして、友達との会話の中で「それまるで参勤交代やんけ!」とか「これから合コンやのにその参勤交代みたいな格好なにそれ!」などといった単語を散りばめて会話をゴージャスに粉飾していくという手法は、世間一般的に割と見かけられる光景である。(見かけられない)
で、「参勤交代」という便利な単語にベッタリ寄りかかって気取った日常会話を成立させているくせに、我々はほとんど「参勤交代」がどのようなものなのか知らない、というのも事実である。ああ、恥ずかしい我々。(恥ずかしくない)
華麗な大名行列の実相とは何か。幕府・他藩への「外交」と儀礼、トラブル処理の知恵、コストのやりくり―多彩な実例と人間模様をふまえて幕藩体制の知られざる根幹を解き明かす。
私の浅薄な知識とイメージからすると、「参勤交代」というのは「ずる賢い」システムである。
江戸幕府の権力を誇示・維持するために、日本全国の大名から人質を取りつつ経済的にも削っていくという、実に考えられた悪巧みなのである。
これは権力側からすると最高にイカしたシステムということである。
もちろん私の狭く浅い知識と幕末の志士達に共感して熱くなった(だけ)青春を抱えているが故のイメージなのであるが、本書ではこんな知識を軽く一蹴してくれる。
- 江戸と領地を往復する大名行列により街道が発達したことにより、お金も情報も流通し、文化の均質化が促進された。
参勤交代の果たした役割としては、これが結構大きいだろう。
もちろんそんなことを幕府は意識していなかったと思うが、現代日本にも少なからず影響を与えてもいて、これだけでも制度としての「功」としてはかなり大きいと思う。
また、浮世絵の広まりもこの参勤交代に負うところが多いようで、文化的には少なからず意義があった制度だったようだ。