CASSHERN
監督:紀里谷和明
2004年 日本
この地に生まれた、愛する人々に捧ぐ。
ずいぶん前に観た映画の感想。
たった一つの命を捨てて、生まれ変わった不死身の体、鉄の悪魔を叩いて砕く、キャシャーンがやら ねば誰がやる。
キャシャーンと云えばこの名文句で有名な名作アニメだが、映画の方となると賛否両論(ほぼ否だが)。
>>内容<<
70年代前半に人気を博したTVアニメ「新造人間キャシャーン」を、VFXやCGを駆使した最新のヴィジュアル表現で実写映画化したSFアクション。
監督は宇多田ヒカルのミュージック・ビデオなどで高い評価を受け、これが劇映画デビューとなる映像クリエイター紀里谷和明。
そこは現代の世界とは全く異なる歴史を歩んできた世界。
大戦は50年も続き、世界は大亜細亜連邦共和国とヨーロッパ連合という、2つの陣営に分断されていた。
戦いは大亜細亜連邦共和国の勝利に終わるが、人心は荒廃し、様々な後遺症と荒れ果てた大地だけが残った。
そんな中、東博士は重い病に苦しむ妻を助けたい一心で、人間のあらゆる部位を自在に造り出す”新造細胞”理論を構築する。
やがて、それを私欲のために利用しようとする軍関係者の援助で始められた実験は、博士の思惑を超え、”新造人間”なる新生命体を生み出してしまうのだった…。
低予算と云われる割に豪華な絵作り。頑張ってるなぁ~と思った。
しかし「イノセンス」等の作品を見てしまうと、独創性を感じないのも事実。
絵の種類は多いがただのゴージャスな絵でしかなく、個が感じられないのだ。
厳しく云ってしまえば、お金をかければ到達できるレベル。
そして音楽が合ってない。音楽に嫁の宇多田ヒカルや椎名林檎を使ったりするあたりは、より多くの人に観て欲しいという意図があるんだと思う。
だったらもう少しストーリーを整理してわかりやすくした方が良かったんじゃないだろうか。色んな人の感情が渦巻き過ぎていて、ゴチャゴチャしてしまってる。映画が鳴門のうずしおに占拠されてるかのようだ。
そういう部分では、ブライ配下の面々のエピソードなんか要らないとさえ思った。
しかも配下が佐田真由美と要潤という、私の嫌いな顔ときたもんだから余計に要らないと思ってしまう。まぁ、これは超個人的な趣味だが、誰が演じててもこの部分は削ってくれた方が観やすかったと思う。
ブライと鉄也、ほとんどこの二人だけでイイんじゃないかと。宮迫頑張ってたけどね。
上条将軍が大滝秀治なのもどうかな~。街中に大滝秀治の顔があふれていてギャグかと思った。引きで撮ったら実は山間にある古民家の縁側に座ってるんじゃないかと想像してしまいそうである。
とかなり否定的なこと書いてるが、つまらんと云われてる割に頑張ってるんじゃないかなと思ったのも事実。「BRⅡ」とか「踊る~2」みたいな誉めようがないトンデモ映画だろうと思っていたから、それなりに観れるというだけで好感度は高かった。
また、時々「オオッ!」と思わせる絵作りをしているし、殺陣なんかは結構斬新な見せ方で良かった。
紀里谷和明監督はアクション映画の方が向いてるんじゃないかなと思うくらいである。北村龍平よりは上だと思う。アクション監督は諸鍛冶裕太という人で、なんと前年に公開された「BRⅡ」のアクションも手掛けていた(笑。
ストーリーが整理されてなくて、期待されたアクション部分はクオリティは高いがかなり少ない。しかし私的には出来る監督なんじゃないかと思う。
潤沢な予算の元にこうした近未来映画を撮らせれば、世界にだせる映像を作れる数少ない日本人監督になれる人だと思うのだが、どうだろうか? もちろん良い脚本を用意する必要はあると思うが。
CASSHERN
監督:紀里谷和明
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