【本】電波利権/池田信夫

電波利権/池田信夫(新潮社)電波利権
池田信夫

新潮社

「日本最大の既得権益集団はテレビ局である」という刺激的な帯につられて買ったが、テレビ局批判と云うよりも電波行政批判の書である。

「電波」という観点から見ると、テレビ局はとてつもない「既得権益集団」である。タダで貰った電波を無駄遣いする、電波利用料を携帯会社にツケ回す、政治家に媚を売り新規参入を妨害する、ほとんど無意味な「デジタル化」を進めてインターネット放送を潰す…。
公共財であるべき「電波」が私物化されているのだ。
「電波利権」の驚くべき構造を描き出し、「電波開放への道」も提言する論争の書。

今、身近に起きつつあることで興味深く書かれているのが「地デジ」についてである。

そもそも地デジにする意味、ユーザーからすれば「利点」というものがいまいち不明である。ハイビジョンは高画質らしいが、20インチ以下のTVでは高画質の恩恵は受けられず(高画質になったかどうかがわからない)、30インチのTVで50%の人がキレイになったと判別できる程度らしい。

まぁそれでも大画面TVが当たり前となるだろう(?)将来に備えてのハイビジョン化は悪くないのかもしれないが、だったら何故に導入コストも安い衛星デジタルではなく、コストも高くてチャンネルも衛星デジタルに比べて少ない地上波デジタルなのだろうか?

これの解は本書では「地方局を延命するため」とバッサリ。

また、地デジ化の為の負担は国費とされているが、実態は「電波利用料」である。

その「電波利用料」ってこれ読んでるアナタ方のほとんどが払っているんですよ。

携帯電話料金がそれだ。

携帯電話業界は電波を全体の1割しか使用していないのに、何故か93.4%というほとんど全部的だろう! な電波利用料を払わされている。

放送業界はただで貰った電波をほとんどただ同然で使用し、結局のところ、携帯電話の使用料金に転化されて知らぬうちに我々が負担している、という意味不明の構図が見えてくる。

携帯電話の料金が高い原因はそこに潜んでいる。

テレビを見なくても、携帯電話を使えばテレビのために少なくないお金を払っているも同然なのである。

いかにして既得権益を守り、新しいサービスを押さえ込むかに汲々としている図が見えてしまうのだが。

なかなかの良書とも云える本書であるが、嫌な意味で当然、新聞やTVの書評では紹介してもらえず、口コミと雑誌広告だけで売れているらしい。

Amazon:電波利権/池田信夫(新潮社)

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