田宮模型の仕事
田宮俊作
文藝春秋
個人的には田宮模型と云えばウォーターライン・シリーズである。
子供の頃にはウォーターライン・シリーズの各種艦船を買って畳の上に並べ、連合艦隊モドキの妄想を繰り広げて喜んでいたものである。
人によってはそれは戦車だったり戦闘機だったりするのだろうが、編隊を組むなら同じモデルを買わずに済む艦隊が私は好きだった。
そこから年を少し経ると、プラモデル=ガンダムな時代である。
ガンダムのプラモデルにも夢中になったが、私のプラモデルの原点は、ウォーターライン・シリーズである。
そんな田宮模型ができるまで、が本書「田宮模型の仕事」である。
たかが模型、されど模型。戦車のプラモデルのために東西冷戦下のソ連大使館と直談判し、車の模型を作ろうと実物のポルシェを解体してしまう。そんな本気がタミヤを世界一の模型メーカーにした!自らリンゴ箱の上で模型の図面を描いた現社長が綴る涙と笑いの奮戦記。親本に新原稿を大幅追加した増補決定版。
木製模型の会社から始まり、乗り遅れたプラモデルへの移行、今では世界に名だたるTAMIYAへの道は困難の連続である。
しかし溢れる情熱と創意工夫で乗り越える。
子供の頃にショップのショーケースで憧れの目で見たあのプラモデルや、実際に作ったプラモデルの製作秘話がそこかしこに散りばめられていて、かつてプラモデルに熱中した時代のある人にはたまらない内容だろう。
リアルな模型からミニ四駆まで、日本のプラモデルの歴史を担い続ける田宮模型の次はなんだろう?
田宮模型の仕事
田宮俊作
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