【本】のぼうの城/和田竜

のぼうの城 和田竜 小学館のぼうの城
和田竜
小学館

脚本「忍ぶの城」を映画化前提で小説化したのが「のぼうの城」だそうだが、「忍ぶの城」自体知らないので、まぁ、関係ない。

が、なんかイキのいい新人が出現したっぽいなぁ~、と思い手に取った。

周囲を湖に囲まれ、浮城とも呼ばれる忍城(おしじょう)。
領主・成田家一門の成田長親は、領民から「でくのぼう」を略して「のぼう様」と呼び親しまれる人物であった。

天下統一目前の豊臣秀吉は、関東最大の勢力北条氏の小田原城を落城せんとしていた。
豊臣側に抵抗するべく、北条氏政は関東各地の支城の城主に篭城に参加するよう通達。
支城の一つであった忍城主の氏長は、北条に従うように見せかけ、裏で豊臣側への降伏を内通し、篭城作戦に参加していた。

「武州・忍城を討ち、武功を立てよ」秀吉にそう命じられ、石田三成は成田家が降伏しているとは露知らず、戦を仕掛けんとする。
城はすぐに落ちるはずだった。
開城か戦か、成田家に遣わされた軍使が問うと、総大将の長親は「戦」を選択。
当主・氏長より降伏を知らされていた重臣たちは混乱するが、かくして忍城戦は幕を開ける。

総大将たる長親には、将に求められる智も仁も勇もない、正にその名の通り、でくのぼうのような男。
主だった将兵は小田原へ赴いていた。
三成率いる二万超の軍勢に、百姓らを徴発して二千強の成田氏。
果たして勝機はあるのか。

全体的に読みやすくて、するすると頭に入って情景が浮かぶ点で「あ、イイ作家だな」と唸らされた。ホント上手い。

が、映画化して面白いかどうかとなると、正直、あまり期待できないように思う。
全体的にテイストが薄いし、映画化が前提のせい(?)なのか、脇役達のキャラを立てようとしているような気がしてならない。

もちろんそういう考えもアリだとは思うが、もうなんかあの俳優もこの俳優もキャスティングされるんだろうな、と微妙にうんざりもした。

映画は監督で観るもんだと思っているので、正直、あの俳優が出演するから観る映画なんて、ほぼゼロに近いんだけどなぁ。普通は違うのか?

小説としては薄味だけどサクサク読めて、エンタテインメント性もあるから、歴史小説・時代小説好きじゃなくても安心してオススメできる。

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和田竜
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評価:stars
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