4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する
杉山茂樹
光文社
傑作やーん。
理屈の正しさ云々以前に、サッカーの戦術をこれだけわかりやすく&読みやすくロジカルに語った本にはそうそうお目にかかれない。
オシム以後――日本サッカーの進むべき道は、ジャイアントキリング(番狂わせ)にあり。
これは、ピッチ上に描かれる”デザイン”についての本だ。
つまり、サッカーゲームの進め方の話であり、戦術の話であり、布陣の話である。「やっぱり、4バックより3バックのほうがいいよね」「オレは4-3-3が最強だと思うけど」といったサッカー談義をよく耳にするが、いくら熱っぽく、理屈っぽく、監督目線・評論家目線でその理由を語ったところで、ベースとなる戦術や布陣に対する知識がなければ、まるで説得力はない。
しかし残念なことにその知識は、欧州では日常的に語られていても、いまの日本では満足に語られるものではない。いや、むしろすっぽり抜け落ちていると言ってもいい。けっしてまだ、「常識」ではないのだ。
――本書では攻撃サッカーを象徴する現在流行の4-2-3-1をはじめ、サッカーの代表的な布陣を戦術的な観点から分かりやすく解説していく。
プロフェッショナルなサッカーをテレビでしか見たことがない人も、テレビ画面に映っていないところで何が起きているのかをイメージできる一冊。
あの「フラット3」って結局なんだったの? 4バックって? 3バックは? どっちが攻撃的よ? ジーコジャパンの何がダメだったのさ! つか気になる岡田ジャパンはどうよ?
こんなことが読んだだけでわかった気になって、サッカーをスタジアムで観たい、という気にさせるところが本書の凄いところ。
云ってることが正しいとか正しくないとか、そういうこと以前の魅力に溢れているのである。
オレなんかは久しぶりにウイイレやりたくなったし(笑。
元Jリーガーとか元なんたらリーガー、南米出身だけが売りとか、そういった日本のサッカー解説者には書けない一冊。
4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する
杉山茂樹
光文社
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