くたばれ!ハリウッド/The Kid Stays in The Picture
監督・脚本:ブレット・モーゲン Brett Morgen
2002/アメリカ
裏切られても、愛を込めて。それが俺の生き方
70年代のハリウッド映画界に新風を巻き起こしたカリスマプロデューサー、ロバート・エヴァンズが波乱万丈の半生を自ら語り下ろしたドキュメンタリー。ハリウッドに蒼然と輝きを残す彼の、映画よりもドラマチックで波乱万丈の人生がここにある。
「ローズマリーの赤ちゃん」や「ある愛の詩」の製作で、パラマウントを立て直した伝説的プロデューサー、ロバート・エヴァンズ(Robert Evans)の自伝小説を映画化。
エヴァンズ本人が撮影を拒否したために(でもナレーションは本人)、写真や映像素材を使って作られることになったが、写真をデジタル加工して立体写真のように見せ、非常に面白い映像を作り上げている。
エヴァンズは子役として映画の世界で活躍したが、俳優としては芽が出ずその道をあきらめる。
しかし兄と共同経営していたアパレル・メーカーを成功させ、たまたま営業で訪れたホテルで大物女優のノーマ・シアラーにスカウトさる。
この出会いをきっかけにして、エヴァンズは映画「千の顔を持つ男」の重要な役を得ることになる。
この役で有望若手俳優と認められたエヴァンズは数本の映画に出演するが、自分の才能に見切りをつけ、プロデューサー業に転身。
30代にして倒産寸前だったパラマウントの製作責任者に選ばれ「ローズマリーの赤ちゃん」「ある愛の詩」を大ヒットさせ会社を立て直す。
その後、首になりそうなところを起死回生のプレゼンテーションで回避したり、麻薬スキャンダルや殺人事件への関与(これは濡れ衣だった)で映画の世界を追われるが、その度に返り咲くというまさに映画を地で行く人生である。
全てはエヴァンズが語るエヴァンズの物語なので、客観性に欠けた独りよがりな点もあるし、眉唾な部分もなくはない。
しかし、映画の冒頭でエヴァンズの言葉が引用されている。
どんな話にも3つの側面がある。
相手の言い分。
自分の言い分。
そして真実。
誰もウソなどついていない。
共通の記憶は微妙に異なる。
《ロバート・エヴァンズ》
こう宣言されているので、エヴァンズの言い分に基づいた映画であっても、それは正しいのである。
さてと、些細にして見過ごせない点がある。
それはタイトル。
エヴァンズは誰よりもハリウッドを愛している。だから裏切られてもハリウッドに舞い戻ってくる。
なので「くたばれ! ハリウッド」というタイトルは正反対だと思う。
これはボクの言い分。
邦題をつけた映画会社の言い分は、やっぱり異なるだろう。
Amazon:くたばれ!ハリウッド/ブレット・モーゲン
<参考にさせていただきました>
・CLASSICA – What’s New!: 「くたばれ!ハリウッド」
・So-net blog:ナニミル?〜DVD日記〜:くたばれ!ハリウッド