コレデオシマイ。―風太郎の横着人生論
山田風太郎
講談社プラスアルファ文庫
>>内容<<
「酒もたばこもやめて、長生きしてどうするの?」
「人生の最大事たる死は、大半偶然にやってくる」
「僕の小説にはすべて、女は美人しか登場しないの」
「やりたくないことはやらないのが、僕の人生のモットーかな」
忍法帖シリーズで一世を風靡した戦中派天才老人が、独自の視点から、食・病・死・女性、尊敬する文士や歴史人物などについて縦横に語った味わいたっぷりの極上人生哲学! 興趣尽きせぬ贅沢な風太郎ワールドに遊ぶ。
市井に漂いて商売知らず、陰に似て陰にあらず、賢に似て賢ならず、物知りに似て何も知らず、世のまがい者、唐の大和の数ある道々、技能、雑芸、滑稽の類まで知らぬ事なげに、口にまかせ筆に走らせ一生を囀り散らし、今わの際に言うべく思うべき真の一生事は一字半言もなき当惑。
近松門左衛門の最後の言葉だが、ほとんどの人はこんな感じじゃないだろうか、という点を、ほとんど人が言い表すことのできない見事な筆致で書いてしまったところが素晴らしい。天才の最後の仕事ですな。
ボクがこれを真似て書くと、今まで散々喋くり書きまくっていたのに、いざ死ぬとなると云うべきことはひとつも浮かばんなぁ〜、なんだかなぁ〜、となる。手本があってこの程度。天才とは大違いだ。
ちっとも本の感想になってないが、タイトルの「横着人生論」のままである。山田風太郎という人は、才能にも恵まれたけど、幸運な人生を歩んでいると思う。
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