人生は、時々晴れ/All or Nothing
監督:マイク・リー
2002/イギリス、フランス
見つめ合えれば、明日はきっと、幸せ
タクシー運転手のフィルは、スーパーで働く妻ペニー、老人ホームに勤める娘レイチェル、そして無職の息子ローリーの一家4人で、ロンドンの集合住宅に住み、質素な生活を送っている。
娘は決して心を開こうとはせず、息子は反抗的な態度を崩さない。
結婚生活の長い妻とも深い溝を感じてしまう今日この頃。
すっかり、家族らしい会話もなくなっていた。それはフィルの家族だけではない。
同じ集合住宅に住むフィルの同僚やペニーの同僚もやはり家庭内に問題を抱えていた。
そんなある日、予想もしない悲劇がフィルの一家を襲う…。
いつしかお互いに関わりを持たなくなってしまった貧しいタクシー運転手フィルの家族と、同じ集合住宅に暮らす2つの家族の物語。
監督のマイク・リーは台本を用意せず、リハーサルやディスカッションを通した即興の演技を撮る、という独特の製作方法を採る監督らしい。
そうした手法はなかなか興味深いものであるが、結果的にイイ作品が出来上がってこなくては意味がない。
そーゆーことを踏まえると、この「人生は、時々晴れ」(原題「All Or Nothing」)は、スゲー意味がある作品である。というか大傑作。映画史に残る傑作だと思う。
明らかに幸福ではなく、かといってとんでもなく不幸という状況でもなく、なんか人生どん詰まりで諦めきったという閉塞感が延々と続く作品で、登場人物の世界が一変するような素晴らしい救済みたいなアクシデントを期待してしまったりするのだが、そんなものはない。
そんな「まるで映画」みたいなことは起きないのだ。
が、フィルの家族にはささやかな救済がある。
現実的な部分ではナニも変わりはしないのだろうが、リアルな救済がそこにはある。
このラストを生みだしたというだけでこの映画は大傑作である。
なんて書き方すると用意周到な伏線と仕掛けがあるように思われたりしそうだが、そういうのは、ないです。
Amazon:「人生は、時々晴れ/All or Nothing」マイク・リー
<参考にさせていただきました>
・銀の森のゴブリン: 人生は、時々晴れ
・Let’s have so me music!: 人生は、時々晴れ
・愛すべき映画たち: 『人生は、時々晴れ』