日頃からお世話になっている自動販売機の歴史を知ってみようではないか、ということで本書を購入。
自動販売機の歴史は意外に古く、そのルーツは古代エジプトにまでさかのぼり、19世紀のイギリス、20世紀前半のアメリカで発展し現代に至る。
日本にはすでに明治時代からあったが(日本人による第1号は1888年)、あまねく普及するのは20世紀後半のことである。
今日の日本では全国津々浦々に普及し、その数は550万台を超え、年間売上金額は7兆円に上る世界一の「自動販売機大国」なのである。
自動販売機はなぜ日本で発達したのか。自動販売機が人間や社会に与えた影響は何か。自動販売機の歴史と文化を豊富な図版を使って述べる。
海外と日本の違いでよく云われるのは、日本にはそこら中に自動販売機が設置されていることである。(だいたい否定的なニュアンスで云われることが多い)
本書で触れられているが、日本は世界一自動販売機が普及(台数は世界2位/人口比台数や販売金額では1位)している国である。
なぜ、日本は世界一の自動販売機大国となったのか、これには様々な要因がある。
- 階級社会ではない平等社会。(誰もが同じ物を食べ、同じ物を飲み、同じ物を使う社会。)
- 安全な国である。(盗難・窃盗事件が少ない。)
- 多くの人が自由に使えるお金を持っている。(子供でも自動販売機を利用できる程度のお金は持っている。)
- 工業化している。(機械に対する信頼感がある。)
- 自動販売機の無償貸与。(設置する資金が不要。)
- 定価販売の習慣がある。
また、日本での自動販売機が広まる大きな要因として、国鉄・私鉄の券売機の普及があり、老若男女が利用する公共の交通機関に自動販売機が使用されることで、使用方法の普及や利便性といったものが一般の人々に広く知れ渡ることとなったとも書かれている。
普及した要因は他にもあるだろうが、基本的には優れた面での条件が揃っていないと普及し難いというのがわかる。
また、電気使用量や産業廃棄物、美観を損ねる等の問題を自動販売機は抱えており、こうした問題も当然自動販売機の文化の一端として本書では触れられている。
美観については下記リンクのような試みがある。
- 第16回自販機ロケーション大賞募集:昨年度の大賞::日本自動販売機工業会
ロケーション大賞2点の写真が各1枚に準ロケーション大賞4点は写真なし、という選ぶ意味あるのか? という報告内容である。もう少し頑張って報告して欲しいなぁ、と思うが、本家はどこなんだろう。。
こんな自動販売機もあるようだ。