最近、町山智浩の書籍の紹介が多いが、つまり、流行っているわけだ。(私の中で)
雑誌「映画秘宝」、単行本「底抜け合衆国」「<映画の見方>がわかる本」「映画欠席裁判」などで知られる著者が贈る、怒濤のコラム集。
スポーツ、TV、映画、マンガ、ゴシップ、犯罪etc…
「政治」や「大統領」や「戦争」以外でも騒がしい国・アメリカからの、911以降のポップカルチャー総まくり通信!! 知られざるアメリカのB面を知りたければ、まずこの1冊!
日本の自称マスコミがあんまり伝えることのないアメリカの裏面を大紹介という一冊。
アメリカ人てバカだなぁ~、と思ってしまうネタがたくさんだが、バカと天才は紙一重というのがよくわかる。
例えば、世界一古いという由緒正しいテレビ放送局NBCが、ABC「クイズ・ミリオネア」やCBS「サバイバー」等のリアリティTVブームに便乗して制作した「フィア・ファクター」という番組。
素人が我慢競争するだけという懐かしの「ザ・ガマン」的番組なのだが、何を我慢するのかが強烈。
- 走る馬に100メートル引きずられる。
- 地上30メートルの高さに張られたロープを綱渡り。
これくらいのダチョウ倶楽部系ネタは序の口で、
- ボーリングで倒せなかったピンの数だけ生きているカブトムシを食う。
- ミミズを5回以上噛んで食べる。
- 400匹のネズミがいる穴に裸で入る。
ともの凄い我慢も用意されている。これって賞金は全部同じなのか?
そういや先日、テレビ番組で観客の声援を受けながら”生きた蜘蛛を食っている”女性の動画を見たが、あれって「フィア・ファクター」だったのか?
こんなテレビ番組、日本じゃまず放送できない。
本書で紹介されているネタのほとんどはこういったバカバカしいものだが、「トレイラー・タウンの魔女狩り」の章では、田舎町で起きた3人の子供を惨殺するという事件で、物証もなにもないのに18歳の少年ダミアンが逮捕されるという深刻な事件も紹介している。
ダミアンが逮捕された理由は「黒い服を着て、ロックを聴き、ホラー映画が好きで、難しいオカルトの本を読む」から。
つまり、この地域では明らかに異質な存在だったダミアンは、異質だというだけで犯人にされ(てるとしか思えない)、死刑判決を云い渡される。
こうしたまさに魔女狩りの再来とも云えるような出来事(エメット・ティル殺害事件もなんか思いだした)もアメリカでは起きており、この事件は「パラダイス・ロスト」というドキュメンタリー映画になっている。
アメリカ大好きなほとんどの人たちはこんな狂ったような出来事が起きてることなんて知らないし、こうした事件にも言及してるので、三面記事ばかりじゃない現代アメリカを裏側から見る一冊としてオススメ。
*参考Link*
- ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記 – 新刊「USAカニバケツ」
- Another Fine Man Behind Bars? またひとり
「トレイラー・タウンの魔女狩り」で登場するダミアンへのインタビュー