ユダの福音書を追え
ハーバート・クロスニー
日経ナショナル ジオグラフィック社/日経BP出版センター
イスカリオテのユダは「裏切り」の代名詞とも云える存在で、キリスト教云々を知らなくとも、小説や漫画の登場人物が裏切ると「ユダ」になぞらえられる場面が登場したりして、まぁ、とりあえず「ユダ=裏切り者」的な印象を持つ人は多いだろうと思う。
新約聖書では、ユダは師であるイエス・キリストを売った裏切り者、という絶対的な悪にされていた。
しかし、存在しないと云われていた幻の福音書「ユダの福音書」が発見され、ユダの裏切りは実は裏切りではなかった、という物語がそこには書かれていた。
本書はその「ユダの福音書」の内容について詳しく書かれたものかと思いきや、実はそうではない。
「ユダの福音書」が発見され、しかし世に出ることなくそのまま朽ち果てるかと思われたが、様々な人の手を経て脚光を浴びるまでの物語である。
なので、内容について詳細を知りたい人は、「原典 ユダの福音書」(日経ナショナルジオグラフィック社)を読んだほうが面白いと思うが、数奇な運命をたどりボロボロになりながらも現代に現れた歴史的な書の物語、というドキュメンタリーとして読むのであれば、実に面白い本だと思うのでオススメ。
あと、本物が見てみたい。
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・ユダの福音書を追え/ハーバート・クロスニー(日経ナショナル ジオグラフィック社/日経BP出版センター)
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