オタク・イン・USA 愛と誤解のAnime輸入史
パトリック・マシアス 町山智浩(編集・翻訳)
太田出版
私は「オタク」ではないのだが、「オタク」には興味があるわけで、日本人の習性か「オタクが海外からどう見られているのか」「日本のアニメが海外で人気だと云うが、実際どのように受け入れられているのか」ということにも興味がある。
で、「オタク・イン・USA 愛と誤解のAnime輸入史」はそんな興味を満たすのに格好の本だろうと手に取ってみた。
>>内容<<
全米で爆発する日本製オタク・カルチャー、その知られざる裏事情を奥の奥まで大公開。
アメリカは萌えているか?! アメリカン・オタクの世界にようこそ。
アメリカに日本のアニメや子供向け番組が輸入され始めた頃の状況は、日本の制作者側の無知というかおおらかさもあり、作品に対して相当酷い扱いがあったようである。
例えば、
「科学忍者隊ガッチャマン」は「Battle Of The Planets(惑星大戦争)」というタイトルで宇宙の侵略者から銀河系を守る宇宙戦士の物語としてズタズタに編集されて大人気を得たし、「宇宙戦艦ヤマト」は「スター・ブレイザーズ」として「ヤマト」は「アルゴ」という船名になり、永遠のダンディーであるデスラー総統はオカマ言葉で喋っているが人気を得た。
「百獣王ゴライオン」と「機甲艦隊ダイラガーXV」は、何故か合体して「ボルトロン」というアニメに変身している。
更に過激なのは「ロボテック」というアニメで、こいつは「超時空要塞マクロス」「超時空騎団サザンクロス」「機甲創世紀モスピーダ」というタツノコプロ製作アニメをひとつのシリーズにしたアニメ番組。
といったエピソードが次から次へと紹介され、アメリカのオタクたちは日本の情報を得ながら自分たちはなんか違うものを見せられているらしい、という実にもどかしいポジションをさまよっていたようだ。
今ではそんなもどかしさもインターネットの恩恵とかである程度は解消されつつあるようだが、暴力描写やセックス(特にチャイルド・ポルノ)に厳しいアメリカというお国柄もあって、日本のオタクと同じ環境というのは難しいようである。
全体的に面白おかしいネタが満載なのだが、本書を読むと小難しいこと云わずとも日本とアメリカの文化の違いも浮き彫りになってきて、アメリカを知るひとつの本として「オタク・イン・USA 愛と誤解のAnime輸入史」はオススメだ。
また、権利関係で不可能だと思うが、この本をドキュメンタリー映像化すれば相当面白いだろうな、と思った。
オタク・イン・USA 愛と誤解のAnime輸入史
パトリック・マシアス 町山智浩(編集・翻訳)
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